柳家喬太郎みっちりナイト〜七夕+愛+ミステリアス= 〜

サラリーマンは百万年後も同じでしょう

七夕の夜のお楽しみ、柳家喬太郎氏の独演会に行ってきました。
(画像は中入り後のゲスト、ペーソスおじさんたちの持ち歌「ホッピー飲んで憂さ晴らしぃぃ…」より。喬太郎師匠とは違う方向で破壊力があった…)
19時30分開演と少々時間が遅めだったので、中野駅前の居酒屋で腹ごしらえ。思い切って浴衣着用、梅酒を片手に蕎麦を啜るなんざ、失った5年分の日本の夏を取り戻している気分です。むしろ日本を偏愛する外人みたいだ。
しかし、面白かったな。私は落語も勉強中の身ですので、まだまだ知識・経験不足な点が多いのですが、コント好きとして喬太郎師匠の話口がどうにもツボなんです。特に新作落語中の演技力とキャラの立ち具合に魅了され、動きのあるコントや現代劇以上に想像力がかき立てられる。そこにたまに挿入するメタな視線からの突っ込みが私たちの視点を押し引きするので、この揺さぶりが若い人にも好まれるんじゃないかなぁ、と。満席の中、若いお客も多かったですし。一席目の「怪談のりうつり」の支離滅裂な展開に「無茶苦茶だぁ」とつぶやいてしまいました。良い意味で。窓際サラリーマン加藤さんの気持ち悪さ、最高。がんもどき教の教祖様の瞳孔の開きっぷり、最高。がんもどき教に勧誘する女の子の不審者っぷり、最高。
で、今回の独演会のメインである「きさらぎ」について。これは現在放映中の映画「キサラギ」を喬太郎師匠により落語化したもので、映画を見れば二度楽しめる、といった趣向のもの。どっちから観ようか悩んだのですが、結局「きさらぎ」を先行してしまいました。映画は自殺した売れないアイドルの一周忌に5人のファンが追悼のオフ会を開催し、そこで展開されるやりとりをワンシチュエーション・ドラマに仕立てたものらしいのですが、これを無謀にも師匠は落語化した(させられた)のですね。師の設定は古典風にして、品川のいまいち女郎の自殺を5人の男衆が追悼するもの。
再三言い訳いたしますが、落語は勉強中の身。それでも感想を、と言われると「そりゃ無理があるよなぁ…」かもしれません。「キサラギ」の落語化といったら1人5役ですよ。否、それ以上の人物が登場していました。こりゃ大変だぁ。それでも動きのあるストーリーなら緩急つけて展開できると思うのですが、相手は会話劇。それこそ噺家の腕の見せ所かもしれませんが、展開上、5役とも同テンションにならざるを得ない箇所もあり…途中だらけちゃいました。私の集中力の問題なんですけど、なんか残念だったなぁ。オチ付近で急激に展開するのも少々乱暴な気が…。オチそのものは実に落語っぽくて、ほほぉ、と感心しましたが。
無理難題をやってのけた師匠の心意気には頭が下がる思いですが、できれば何度も繰り返し口演して、洗練させて欲しいお話でした。昨晩一回きりの企画ものですから、二度と聴けないんでしょうけど…。
ところで、この「キサラギ」って映画は、やったら評判のいい映画みたいですね。Yahooの評価をチラ読みしたところ、無理のない伏線がびっしり張ってあって大層気持ちの良いコメディだとか。先日鑑賞した「舞妓Haaaan!!!」はジェットコースター的な展開に笑えども、そういう意味で楽しめなかったので、やっぱ「キサラギ」も見ておきたい。

余談ですが、7月5日からYahoo動画でバナナマンの「Loser」が配信されてますね。もし、またどこかで誰かが現代劇やコントと落語をコラボするならこれを推したいです。合コン前の打ち合わせという現代的な設定に、且つこのじわじわくる展開とさりげない伏線を落語にしようとか。聴きたくね?