NODA・MAP番外公演「THE BEE」

蜂だけに

画像は中国のWebサイトで見つけた蜂蜜です。無断転載対不起。
野田秀樹氏の舞台であるNODA-MAP番外編『THE BEE』の感想を書きたいと思うのですが、どうにもまとまらない。
一般的で善良な市民であっても、我々はいつ何時、至極当然のように悪になり得るか分からず、その悪の中にもエゴイスティックで偏向した”正義”を含んでおり、この作品は繰り返されるテロとその報復行為に見られる現代社会の矛盾に満ちた因果応報を衝いた…なーんて私が言っても、言ってて意味が分からない。分からない訳ではないけれど、そういう話題は、わざわざ芝居にしなくても、どこぞのジャーナリストが自分の子供でも殺されたかのような論調で語ってくれれば、それなりにカッコがつくんじゃネイノ?てな、そんな冷めた感覚を持ってしまいがちでした。
でも、辛かった。暴力の描写はそれ程激しくなく、ゆっくりゆっくり壊し、壊れ、乾いた音と光景だけが残っていく様子が、グロテスクな恐怖よりも怖かった。辛いはずなのに、でも観ずにはいられない、救われない結末を見届けなくては、と無意味な義務感にかられる、そんなお芝居でした。

考えることが仕事であった学生時代ならいざ知らず、社会人になってまでこの世の悪とか正義とか、自分以外のことを気にしながら生きるのは御免だね、と風刺めいた創作物は避けたいところでしたが、走り出した思考は止まんないよねぇ。このもやもやを引き摺って、ロンドンバージョンにも挑戦する予定です。ああぐったり。