asia blue

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インドネシアに関わりたい」と私の進路を決定付けた、むしろ人生を変えてしまった罪深いCD。10年以上前か…。

宮本亜門の舞台「マウイ」のサウンドトラックなのだけど、普段土臭く聴こえるアジア音楽が洗練されたイージーリスニングに見事に変換されています。その雰囲気にだまされてインドネシアに4年も住んじゃったんだよなぁ。
芯はぶれのないエレクトロニクス音、それにアジアの伝統楽器の音が絡みつくように彩って、たゆたうような気持ちのよさです。でもガムランの音は入っていないような。マレー音楽でよく耳にする笛の音が多用されているような。インドネシアと言うより実はマレーシア?てか「マウイ」ってハワイじゃ…?あれれ。でもいいの。

あと、サンディが歌う「Hai! Hai! Hai!」の中の女の子のインドネシア語ラップがカワイイのです。これにやられてインドネシア語ができるようになりたいと思い、色々踏み外しました。でも、いまだに女子の話すインドネシア語は語感だけならキュートだと思ってますよ。ハワイ出身のサンディのインドネシア語はよく聞き取れませんが、最高にハッピーでピースフルなので許容!

しかし、つくづくプロデューサーの久保田麻琴氏の日本人が求めるアジア・イメージのプロデュース力っていうのは他に類を見ないですね。私もこの雰囲気に憧れて、インドネシアンポップスを聴きこもうとしたり、物足りなくてイスラムのお祈りの歌がたくさん入ったカセットに手を出したり、迷走した時期がありました。
でも結局、日本と同様に現地のロック・ポップスはその生まれ故郷である欧米に傾倒するものなんですよね。そこを消化しきった上で、自分たちのカルチャーを上乗せできる、というかしたがるミュージシャンやアーティストはなかなかいないものです。自分の血から生み出すよりも、異文化への憧れからイイトコドリで繋ぎ出す方が耳あたりがいいってことでしょうかねえ。皮肉なもんだけど。
それを差っ引いても、久保田麻琴氏のアジア(ワールドミュージック)へのこだわりは半端ないです。そういう矛盾を逆手にとって、あちこち放浪して現地の音楽のいいとこだけを紹介してくれてる貴重な音楽おじさんではないでしょうか。この方についていけば幻滅せずに済むでしょう。

でも、まだバリをフィーチャーした「Hotel Ibah」は聴いていないんだよなあ。